だんだんと近づいてくる足音に気づいた。襖の前で監視と護衛をしてくれている女中の声が聞こえる。
不思議に思って襖を見つめると、ゆっくりとそれは開かれた。そこには会いたいと願っていた恭介さんの姿があった。
後ろ姿を遠くから見かけることはあったものの、面と向かって会うのは実に2週間ぶりのことである。
「なかなか顔を出せずすまなかった。色々と忙しくてな」
本当にすまなそうな表情で言う彼に私は首を振る。
「こうしてまた会いにきてくれただけで嬉しいです」
恭介さんは襖を完全に閉めることはせずに数十センチ開けたままで部屋の中に入ってきた。きっと夜だから私への配慮であろう。
「毎日カスミがどういった生活を送っていたのかは菊から聞いていた。不便はなかったか?」
「はい。みんなよくしてくれて……楽しいです」
そうかと呟くと彼は今日私が生けた花が飾られている床の間の段差に腰掛けた。疲れて眠いのか、とろりとした目で花を見つめている。
「明日、時間が作れた。君はここ数週屋敷から出れていないだろう。だから一緒に城下町にでも出かけないか?」
「いいんですか!」
「いいも何も、俺がカスミと出かけたい」
不思議に思って襖を見つめると、ゆっくりとそれは開かれた。そこには会いたいと願っていた恭介さんの姿があった。
後ろ姿を遠くから見かけることはあったものの、面と向かって会うのは実に2週間ぶりのことである。
「なかなか顔を出せずすまなかった。色々と忙しくてな」
本当にすまなそうな表情で言う彼に私は首を振る。
「こうしてまた会いにきてくれただけで嬉しいです」
恭介さんは襖を完全に閉めることはせずに数十センチ開けたままで部屋の中に入ってきた。きっと夜だから私への配慮であろう。
「毎日カスミがどういった生活を送っていたのかは菊から聞いていた。不便はなかったか?」
「はい。みんなよくしてくれて……楽しいです」
そうかと呟くと彼は今日私が生けた花が飾られている床の間の段差に腰掛けた。疲れて眠いのか、とろりとした目で花を見つめている。
「明日、時間が作れた。君はここ数週屋敷から出れていないだろう。だから一緒に城下町にでも出かけないか?」
「いいんですか!」
「いいも何も、俺がカスミと出かけたい」



