Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

「これまでどんな女性たちに誘われても興味を示さなかった恭介様が、優しく素敵な女性を連れてきてくださって嬉しい限りです」


鏡の前に座るようにと言われ座ると、お菊さんが髪を櫛で丁寧にとかしてくれた。それから布団を敷いて、いくらかある蝋燭の内一つ以外消す。


「今日は疲れたでしょうからお休みになってください。朝は迎えに参りますから間違ってもこの部屋から出ないようにしてくださいね」


「わかりました。おやすみなさい」


彼女は廊下に出て座り直し頭を下げながら襖を静かに閉める。遠くで足音はするものの私の部屋の近くを通ることはなく、静けさに包まれた。


なれない浴衣に環境だったからか、布団に入るとすぐに眠りについた。

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恭介さんのお屋敷に招かれてから2週間が過ぎた。その間、彼が私の前に現れることはなかった。

恭介さんに会いたいけれど、困らせてしまうかもしれない。やっと会えて屋敷に住まわせてくれているのに嫌がられてはおしまいだ。


私とお菊それから他の女中も交えて過ごす日々。この時代もなんとも楽しくて、彼女たちから茶道と華道を習い、娯楽に浸っていた。


特に不審な動きを見せない私に女中がお供していることを条件に部屋から出ることも1週間を過ぎて許可が下りた。


すっかり戦国生活にも慣れてきた頃、寝付けずにいた夜に蝋燭を焚いて読書をしていた時。