《side.佐々木霞》
消毒の匂いに真っ白な天井。無機質な音が聞こえる。加えて口元の圧迫感、酸素マスクだ。
「目が覚めたか」
私を覗き込みながら恭介さんが言った。大丈夫、そう返そうとするが酸素マスクが邪魔でうまく話せない。
口元に手を動かし、酸素マスクを外せば圧迫感から解放された。
「……ここ、は?」
「病院だ。車に轢かれて運ばれてからもう二日経っている」
「二日も眠ってたんだ」
「助けられなくてごめん。……困ったら夜叉に頼るといい」
え、と小さく声を出す。突然どうしたのと問おうとする前に彼の手が私の口を苦しくないようにそっと覆った。
「それから桜坂財閥の社長にも霞のことを頼んでおいた」
もう片方の手で彼は着ていたワイシャツのボタンを一つまた一つと外す。三つ目まで外すと前を大きく開いた。
「高校卒業と大学入学を本当は直接祝ってやりたかった。それから……霞と過ごした時間はとても輝いていた」
左鎖骨に刻まれた黒薔薇を晒し出す。その時点で私は恭介さんのやらんとすることがわかった。
「ありがとう、俺に好きだと言ってくれて。愛をくれてありがとう」
「いやだ……だめ」
消毒の匂いに真っ白な天井。無機質な音が聞こえる。加えて口元の圧迫感、酸素マスクだ。
「目が覚めたか」
私を覗き込みながら恭介さんが言った。大丈夫、そう返そうとするが酸素マスクが邪魔でうまく話せない。
口元に手を動かし、酸素マスクを外せば圧迫感から解放された。
「……ここ、は?」
「病院だ。車に轢かれて運ばれてからもう二日経っている」
「二日も眠ってたんだ」
「助けられなくてごめん。……困ったら夜叉に頼るといい」
え、と小さく声を出す。突然どうしたのと問おうとする前に彼の手が私の口を苦しくないようにそっと覆った。
「それから桜坂財閥の社長にも霞のことを頼んでおいた」
もう片方の手で彼は着ていたワイシャツのボタンを一つまた一つと外す。三つ目まで外すと前を大きく開いた。
「高校卒業と大学入学を本当は直接祝ってやりたかった。それから……霞と過ごした時間はとても輝いていた」
左鎖骨に刻まれた黒薔薇を晒し出す。その時点で私は恭介さんのやらんとすることがわかった。
「ありがとう、俺に好きだと言ってくれて。愛をくれてありがとう」
「いやだ……だめ」



