《side.桜坂恭介》
恐れていたことが起きてしまった。運命が彼女を連れ去ろうとしている。俺からまた奪い取ろうとしている。
「急な豪雨に加えて雷って天気予報大外れじゃない」
「ねえ。しかもこの辺り一帯だけらしいのよ。本当なんだか怖いわ」
霞が救急車に運ばれるのを同行した。すぐに彼女は大勢の医療スタッフに囲まれて手術室へと運ばれた。
青信号が点滅して横断歩道を走っていた時に、右折してきた車と衝突。運転手はスマホをいじっていたらしい。
霞の危機を察知してすぐに駆けつけたが間に合わなかった。すでに彼女は血を流していて、やっと治ってきたのに傷だらけで倒れていた。
「オイ、アイツはどうなった?」
手術室前の長椅子にかけていた俺の元に夜叉が現れる。ここを離れたくない俺に変わって夜叉に警察の話を聞いてもらっていた。
俺は未だ赤く光る手術中のランプを指差す。大きな舌打ちをした夜叉は俺と反対側にある長椅子にどっかりと座った。
「……いくら俺たちに能力があったとて、大切な人を守れなきゃ意味がないよな」
手汗を拭うためにいつも持ち歩いているハンカチを握る。ボロボロにならないように大事に扱っていたが、今日は無理そうだ。
恐れていたことが起きてしまった。運命が彼女を連れ去ろうとしている。俺からまた奪い取ろうとしている。
「急な豪雨に加えて雷って天気予報大外れじゃない」
「ねえ。しかもこの辺り一帯だけらしいのよ。本当なんだか怖いわ」
霞が救急車に運ばれるのを同行した。すぐに彼女は大勢の医療スタッフに囲まれて手術室へと運ばれた。
青信号が点滅して横断歩道を走っていた時に、右折してきた車と衝突。運転手はスマホをいじっていたらしい。
霞の危機を察知してすぐに駆けつけたが間に合わなかった。すでに彼女は血を流していて、やっと治ってきたのに傷だらけで倒れていた。
「オイ、アイツはどうなった?」
手術室前の長椅子にかけていた俺の元に夜叉が現れる。ここを離れたくない俺に変わって夜叉に警察の話を聞いてもらっていた。
俺は未だ赤く光る手術中のランプを指差す。大きな舌打ちをした夜叉は俺と反対側にある長椅子にどっかりと座った。
「……いくら俺たちに能力があったとて、大切な人を守れなきゃ意味がないよな」
手汗を拭うためにいつも持ち歩いているハンカチを握る。ボロボロにならないように大事に扱っていたが、今日は無理そうだ。



