Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

潰さないように、ぎゅうと抱きしめる。店員さんがくすくすと微笑む。


「また来てくれると嬉しいな。その時はゆっくりお話ししましょ?」


「絶対また来ます」


店員さんに見送られて店を出る。このまま学校に戻って恭介さんを待とう。喜んでくれるかな、どうやって渡そう……なんて考えながら学校へ向かう。


会った時に渡すのもいいし、家に帰ってからの方がゆっくりできるかな。


「……あ」


横断歩道を歩いているとチカチカと青信号が点滅し始める。プレゼントを落とさないように抱き直し、走り出す。


__キキィイイイ!!!!



体に衝撃が伝わる。青い青い空が目に映った。雨が好きな恭介さんだけど登下校時は晴れにしてくれるって言ってたっけ。


「女の子が轢かれたぞ!!誰か救急車を!!?」


綺麗に包んでくれたプレゼントが無惨にもアスファルトに転がっている。視界が霞む。周辺に人が集まっている音が遠く聞こえた。


__霞


恭介さんが呼ぶ声がする。幻聴かな。
全身が熱い。指の一本も動かない。



「かすみ!!霞!!?」


今度ははっきりと聞こえた。重い瞼を微かに上げると必死に私を呼ぶ彼の姿が見える。