《side.桜坂恭介》
隣で花が咲くように笑う霞を見る。


ここに来るまでにいくつもの彼女の“死”を予知した。もし俺が三者面談があることに気づかなかったら、今手を繋いでいる彼女はどうなっていたか。


面談に俺が来ず担任から怒られて落ち込んでいる時に幽霊に階段から突き落とされる。……それはそばに俺がいたから阻止できた。


今手を繋いでいなければ、歩くのが早くなり車に轢かれていた。


一日でこんなにも霞に死が降りかかってきている。


運命が俺に死を急かすように、彼女を飲み込もうとしている。


離してやるまいと霞の手を握り直した。