《side.佐々木霞》
恭介さんが黒薔薇の呪いに侵されて数日が経った。私たちの関係はどこかぎこちなくなっていた。
正確に言えば彼は普通だけど、私が距離を置いている。なんだか恥ずかしくって。
そして言え出せていないこともある。
登校時間が迫る中、恭介さんの部屋の前で一枚のプリントを握って立っていた。これを見せて相談すればいいだけなのに言えずにいる。
__三者面談
高校三年生の夏休み前。進路について学校で行われる面談だ。家の人と連絡がつかない旨を伝えても担任は聞く耳を持たず、なんとかするようにの一言のみ。
身近な大人というと恭介さんか夜叉さんしかいない。夜叉さんは約束事とか忘れそうだし……となると残るは恭介さんしかいなかった。
言おう言おう、と思うだけ言い出しにくい。先延ばしを重ねて結局当日の今日まで言えずにいた。
__がちゃ
「お……霞?」
彼は自室のドアの前に立っていた私を見て驚く。私も私で開く気配がなかったので慌てふためいていた。
もう、先生に怒られよう
そう思った私はプリントを乱雑にリュックにしまうと、送ってくれる恭介さんを置いて玄関まで走った。
恭介さんが黒薔薇の呪いに侵されて数日が経った。私たちの関係はどこかぎこちなくなっていた。
正確に言えば彼は普通だけど、私が距離を置いている。なんだか恥ずかしくって。
そして言え出せていないこともある。
登校時間が迫る中、恭介さんの部屋の前で一枚のプリントを握って立っていた。これを見せて相談すればいいだけなのに言えずにいる。
__三者面談
高校三年生の夏休み前。進路について学校で行われる面談だ。家の人と連絡がつかない旨を伝えても担任は聞く耳を持たず、なんとかするようにの一言のみ。
身近な大人というと恭介さんか夜叉さんしかいない。夜叉さんは約束事とか忘れそうだし……となると残るは恭介さんしかいなかった。
言おう言おう、と思うだけ言い出しにくい。先延ばしを重ねて結局当日の今日まで言えずにいた。
__がちゃ
「お……霞?」
彼は自室のドアの前に立っていた私を見て驚く。私も私で開く気配がなかったので慌てふためいていた。
もう、先生に怒られよう
そう思った私はプリントを乱雑にリュックにしまうと、送ってくれる恭介さんを置いて玄関まで走った。



