Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

「……俺にもうこれ以上、生きたいと思わせないでくれ……霞を失いたくない」


強いあなたの弱い本音。長い時間を生きてきた故の辛さ。

ぽたり、ぽたりと彼の涙が落ちてくる。濡れる頬を拭おうと腕を伸ばすと、顔を隠すように額同士が出会う。互いの熱が交わった。


伸びかけた腕を恭介さんの背中にまわす。ぎゅうっと優しく抱きしめた。


「大丈夫、私はずっとそばにいるよ」


恭介さんと絡んでいた指が離れる。彼は私の隣に身を沈め、きつく私を抱きしめた。耳元で浅い息遣いが聞こえる。


「恭介……さん?」

「まだ調子が悪いんだ。このままでいてくれ」


身動きができないので表情は伺えない。私は彼の体に擦り寄ると目を閉じた。