Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

超至近距離で聞こえる彼の声で顔に熱が集まるのを感じた。


「勉強もほどほどにしろよ。……おやすみ、いい夢を」


「はい。おやすみなさい」


もっと話していたい。噛み締めるように最後の言葉を言った。この心臓の音が電話先にいる恭介さんに聞こえてないことを願いたい。


聞こえる音がツーツーと無機質なものに変わりスマホを胸に抱きしめる。ソファに寝転び交わしたたった数個の会話を思い出しては足をジタバタさせた。


________
____
__

翌日から本格的に生活はスタートした。朝は「おはよう」から始まり2人でキッチンに並んで朝食をつくる。


朝食が並んだあたりで夜叉さんが起きてきて三人でニュースを見ながら朝食をとった。朝の洗い物は恭介さんがしてくれて、私は学校に行く支度を済ませる。


「霞、行くぞ」

「よろしくお願いします!」


学校まで遠いから頑張って歩くことを決意したけれど、毎朝恭介さんが車で送ってくれるようになった。


これまで歩いて登校していた私がいきなり車で通い出してクラスメイトの噂にされている。それに運転手はこんなかっこいい人だ。


七月に入って夏本番。Tシャツから伸びる筋肉質な逞しい腕に黒いサングラス。美しい顔は少し隠れているが醸し出すイケメンオーラ。