義母と交わした話はそれだけだった。現状を飲み込めずとも、とりあえず少ない荷物をまとめる。


大きな荷物を抱え外で立ち尽くす私を後ろから義母義妹が指をさし笑った。


途方に暮れてしまった。もうすぐ夜が来る。ホテルに泊まるお金なんてない。3月までは休日にバイトをやっていたけど、もうやめてしまってお金は惜しい。


__なんでもいいから困った時は頼ってくれ


もはやこの状況で頼れる人は私にとってこの世で1人しかいない。私は両手に持っていた荷物を道に置いて両手を握って祈る。


「恭介さん、聞こえてますか?」


「やけに大荷物だ。どこかへ行くのか」


数秒後、背後から待ち望んでいた彼の声がした。来てくれたのが嬉しくって、軽やかに振り返る。


「掃除・洗濯・料理など家事は全てやらせていただきます。なのでどうか、お屋敷に住まわせていただけないでしょうか!!!!」


全力で膝に額が付くんじゃないかというぐらいに頭を下げる。背負っていたリュックがずれ落ちる。


「状況は理解できたから頭を上げろ」


渋々頭を上げた。すると恭介さんが目の前に距離に移動していた。どきりと心臓が揺れる。

表情を崩さない彼は地面に置かれていた私の荷物を全て持った。そして歩き出してしまう。