そして夜叉は俺のこの屋敷に勝手に住み着いている。

だから彼女を隠そうにもいつかはバレると思っていた。想像以上に早かったが。


ウィンドウベンチから姿を消すと、次の瞬間には俺と反対のベッドの向こう側から彼女を覗き込んでいた。


「……そういうことか!!お前とソックリなこの刻印、コイツがお前の恋人の生まれ変わりかァ!」


「彼女が起きるだろ。大声を出すな」


「なあこの女は呪いのこと知ってるのか?」


「俺が不老不死だってこと以外話すつもりはない」


じゃないと、近く迎えるハッピーエンドで心優しい彼女は悲しむかもしれない。


夜叉の口が今日の夜空に浮かぶ月のように細長く弧を描いた。