Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

それと同時に土鍋から白い湯気がたつ。覗くと卵がゆが盛られていた。思わず、ほわと声をもらした。


お粥に気を取られている私の額に恭介さんの手が当てられる。


「まだ微熱はありそうだな」


「だいぶ楽になりました。……いただきます」


土鍋と一緒にお盆に乗っていた木製スプーンでお粥を掬う。ふんわりした卵とこれまたふっくらしたお米が体に沁みる。


これが恭介さんの手作りかと一人感動に浸る。彼ができないことはあるのだろうかと思ったけど、そうだ死ねないのか。


「ここは恭介さんの家、ですか?」


「ああ。客間なんて初めて使った」


「私を運んだのも恭介さんですよね、羽のように軽かったと思いますけどありがとうございます」


「羽……?岩の間違いだろ」


「恭介さん!!」


はいはいうそうそ、と笑って降参とでもいうように手を軽く上げる。彼をジトーと睨んで一口お粥を食べる。


「本心を言わせてもらうともっと食え。毎日肉を贈ろうか」


「お肉いいですね、毎日なんて贅沢です」


すっかり土鍋のお粥を食べ終えた私は、彼から渡された薬を飲んだ。


「……それじゃあまずは元気になれ」