ああ、俺はこんなところで死にたくない。残してきた家臣がいる、恋人を家に帰してあげたい。……約束したんだ。


誰か、誰か、助けてくれ


憎いほど晴れた空に浮かぶ太陽に祈った。どうか、どうか、と。


寝てはいけない。それでも重たい瞼はいつの間にか落ち、意識が飛んだ。


『数多の尊い命を奪った者よ。其方の願い、叶えてやろうぞ。永久の刻の中で罰を償うといい』


___たしかに俺はたくさんの命を奪った。罪なき人まで。だがしかし、永遠なんて嫌だ。


『生まれ変わった其方の恋人を探すのだ。其の者が呪いに落とす接吻で其方は再び死ぬことが出来よう。それまでは助けを乞うた自らを恨むがいい……』



目を覚ませば、傷は塞がり血は固まっていた。助けに来た家臣が呼ぶ声がする。


戦いの中で生き残った白い小さな花が、強く咲いていた。