__ピピッピピッ


「38度6分……」


いつになく体がだるく、頭がぼーっとする。朝から悪寒が止まらなかった。しかし体温計を使って体温を知ってしまえば、それこそ気のせいだと言い訳できなくなる気がした。


なんとか学校を耐え凌ぎ、放課後すぐに帰宅する。そして測ればやはり熱があった。発熱なんていつぶりだろう。


体は幼い時から丈夫だったから記憶にある限りでは数年ぶりだ。


熱があったとしても家の人は心配一つせず、私にいつも通りの家事を強要する。休ませてくれと、熱があることを言うだけ無駄なのだ。


お夕飯を作っていれば視界がぼやけて赤切れだらけの手に切り傷ができる。それに義妹が気に入っているコーヒーカップを割ってしまった。


家の人が帰ってくる時間になっても、作業が捗らずお夕飯も洗濯も終わっていない。


「このカップ気に入ってたのに!!なんてことしれくれるの!?」


義妹に胸ぐらを掴まれて揺さぶられる。やんわりと結んだエプロンが体から落ちる。怒る義妹の肩を持って義母にも頬を打たれた。


「この出来損ないめ!!今日は外で過ごしなさい!!」


「いやっ……すみません、あっ」


靴を履く時間も与えられずに、玄関から押し出される。ドアは勢いよく閉められ、音を立てて鍵がしまった。