Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

「そういえば、恭介さんはおいくつなんですか?」


「いくつに見える?」


彼は意地悪く尋ねた。10代……にしては大人な雰囲気すぎるし、30代には到底見えない。結果20代半ばくらいか、と結論づける。


「にじゅう……ご、くらいですか」


「うん、不正解」


流れるように言われてしまい肩を落とす。それじゃあ何歳なのだと問い詰めると、顔を近づけるよう手招きされる。


「……443歳」


「やっぱり神様じゃないんですか!?」


耳元で言われたのにも関わらず聞き間違えかと疑う。けれど彼が先日や今日披露した能力を鑑みるとありえる話なのかと思った。


「不老不死の呪いにかかってる。23歳の時からずっと」


さっきまでの表情から一変し悲しそうな彼は残り少ない紅茶を啜る。


きっと恭介さんにとってこれは辛い話なのだ。


「すみません。辛いことを聞いてしまって」


「いや、気にするな。これが俺の罰だ」


どこか重くなってしまった空気を彼は吸い込むと立ち上がる。


「さて行こう。君も全部平らげたようだし」


言われて気づいた。7種類もあったケーキを余すことなく私は全部食べたことに。ちょっぴり恥ずかしい気持ちに引かれながら、恭介さんに続いて席を後にした。