Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

神様との出会いから数日、私は放課後になると決まってあの花畑に足を運んでいた。リュックにはあの日神様に直してもらったうさぎのキーホルダーが揺れている。


「あなたたちは神様がどこにいるか知ってるの?」


花畑に咲く返事をすることがない花に話しかける。風に吹かれて花びらが舞う。手には神様へのささやかなプレゼントを持っている。

だけど肝心の彼との連絡手段を私は持ち合わせていない。


だんだん季節は5月。夏へと季節は近づいているもののたまに吹く冷たい風に私は両手を温めるために擦り合わせた。


「もう、神様はどこにいるの!!」


そう言った瞬間に両肩にずっしりと重さが乗った。何事かと振り返ると私の両肩に体重をかけていた神様が立っている。


「声がでかい。……随分と元気になったようで何よりだ」


「かっ神様!!」


驚きすぎて固まっている私の目の前で神様は手をひらひらと振る。あっ、と立ち上がって風に吹かれ乱れた髪を整えた。


「先日はありがとうございました。これ、ここで摘んだものですけど……お礼です」


握り締めていた花束を神様の前に勢いよく出す。彼は驚いたようで顔を引いて目を丸くさせた。


この花畑で一番の私のお気に入りの花。それを家にあった麻紐で括っただけのもの。