Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

「この場所にある女の子が花の種を蒔いたんだ。彼女は突然俺の上に降ってきた。俺に小さな幸せを教えてくれた、初恋だった」


「……まさか」


「神の元でずっと君を見ていた。霞だったんだな、あの子は。全部繋がった」


「どうして、約束を破って消えちゃったの。私ずっと苦しくて、それで」


「運命が霞を殺そうとしていた。俺は霞に生きていてほしい。だから一度消えることにした」


「一度?」


恭介さんは乱れた私の髪を撫でて直すと、前髪を分けて額にキスをした。そのままするりと輪郭をなぞる。


「逃げ道を作っておいた。もし、俺がいなくなった後も霞が俺が戻るように祈り続けてくれたなら、その時は人間として永遠の命はいらないから戻りたいと神に縋ろうと」


そのために額に残した祝福を辿って毎日神が見てくれていた、と彼は言った。


つまり私が祈ってくれると賭けていたのだ。そしてその賭けは見事に当たり、人間として戻ってきた。


「もう俺には便利な能力はないが、霞と同じ限りある命をもらった」


「うん……うん」


「あの時の約束は果たせただろ?」


__約束しよう。この場所を絶させず、神に縋っても生きることを


涙が溢れて嗚咽をあげる私は大きく頷いた。