人生は季節が巡ることと同じだ。辛い冬が訪れても、いつかは雪が溶けて暖かな桜咲く春が来る。


雨が降った時に傘を差してくれたあなたがいたから。苦しい記憶も抱いて進める。

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「皆さん、卒業おめでとう!!」


最後のHR。担任の最後の言葉で私たちのクラスは終わりを迎えた。親しい者同士で写真を撮ったり、親が子に花を渡したり。


私にも桜坂財閥の会長さんが花を届けに来ると言ってくれたけれど、1週間前に体調を崩したらしく来れないみたいだった。


在学生と卒業生が入り乱れる校舎から校門までを縫うように歩く。いつもいじめてくる同級生たちも今日ばかりは話しかけてこない。


家に帰ったら何をしようか……なんて考えていると校門の方がざわざわと騒がしい。


「ねえあのめっちゃかっこいい人だれ?」
「イケメン2人がいるんだって、行こう」
「誰か一緒に話しかけに行かない?」



写真を撮っていた生徒たちは走っていく。そして校門に近づいた時、2人の姿が見えて足を止めた。


よく知っている、2人だ。


1人はせっかくの大きな花束を片手で担ぐように持って、スーツのネクタイもつけていない。


もう1人はスーツをきっちりと着こなし、大きな花束を両手で持って人が大勢いる中で私をじっと見つめていた。そして私が気づいた瞬間、微笑んだ。