俺は体にグッと力を入れて、決心する。


「……入るよ、凛」


 小さく言って、手は握ったまま眠る凛の隣に入った。


「……」

 
 あ やっぱやばい

 ミスった、すげぇ凛の匂いがするやばい死ぬ、出よう。
 
 
「んん……」

「!」


 色んな感情が入り乱れる俺を、凛が捕まえた。

 そして俺の肩に、頬をスリ寄せる。


「っ……」


 待て待て待てーい。

 動けなくなった俺に、凛は足に足を絡ませてきた。

 さすがにやばい、さすがの俺もこれはやばい。

 そして凛は、極め付けに「フフッ」と幸せそうなフニャ笑顔をしてみせた。


 俺は白目をむいた。


「…………死ぬ」


 地獄か。 ここは。




 ――そして俺は目はガン開き、身体は硬直させたまま朝日がカーテンを照らすのを見て

 ようやく睡魔に襲われた朝七時、半分寝たまま凛に「おはよう」と言った直後に、二度目のビンタをくらうのだった。