「そんなことより、入江の方が気になる。 凛と結構気が合いそうだけど」

「ほんと⁉」

「うん。 あー見えて入江は慎重派だから、学校での凛の隙のない感じにビビってるだけな気がする」


 入江さんと言えば見た目が派手で、いつも先生と戦ってて……。

 あんまり慎重派なイメージはなかったけどな……?


「まーとりあえずさ。 よきタイミングで『仲良くなりたいから話そー』とか言ってみたら?」

「仲良くなりたいから、話そう……?」

「うん」


 仲良くなりたいから、話そう……

 確かに(しん)みたいなクラスメイトにそう言われたらみんな嬉しいだろうけど、私に言われたら……どうなんだろう?

 私は挨拶しただけで動揺するクラスメイトたちの顔を思い出す。


「……引かれないかな……?」


 冷汗を流しながら弱音を吐くと、(しん)がハハッと笑う。


「大丈夫。 なんとかなるよ。 このパスタみたいに」


 (しん)はパスタの巻き付いたフォークを持ち上げてニッと可愛い笑顔をしてみせた。