どういうことだ?!

創立記念パーティーを終え、来賓に挨拶をして回り、漸く帰宅出来ると思った時には、芽依の姿がどこにも無かった。

すぐさま電話を鳴らしてみるが、電源がオフになっているようで繋がらないし、メールを送っても既読にもならない。

「岡本っ、芽依を見なかったか?」
「十五分ほど前に、如月社長と会話なさってましたが」

如月社長?
芽依の父親、俺の義父でもある、あの人か。

「俺だ。芽依の位置情報を確認してくれ」
「了解です」

調査会社の工藤 明に電話を入れ、一旦自宅へと戻る。

入籍した日=結婚初夜……なのに。
花嫁が消えるって、どういうことだ。

俺が何年この日を待ってたと思ってんだよ?!!
苛立つ感情を必死に押し殺す。

寝室に入ると、芽依のキャリーケースが無いことに気付く。
焦りながらクローゼットの中を確認するが、仕事用のスーツも鞄類もない。

浴室へと駆け出し、洗面室の戸棚や引き出しを次々と開ける。
そこは、彼女がこの家に住み始める前の状態に戻っていた。

いや、待て。
パーティー会場でのやり取りを思い返すと、芽依は俺との結婚を予想もしてなかったはず。

あの時、彼女は『今日のパーティーが終わったら、響さんの前から姿を消そうと思って』と言っていた。
それなら、荷物を纏めてこの家を出ようとしてたはず。

まさか、俺がプロポーズして、勝手に入籍してしまったことも嘘だと思ってるのだろうか?
いやいや、そんなはずはない。
婚姻届受理証明書だって、見せたのに……。