よく晴れた日曜の朝。
早起きした夏桜は、テラスで清々しい風を全身で感じるように両手を伸ばす。

「よーし、シーツも洗っちゃおうかな」

連日仕事に追われ家事に手が回らなかった夏桜は、久しぶりにストレス発散をしようとやる気を起こす。

視線の先は一輝の寝室。
昨夜は夜中に殺人事件の捜査呼び出しがかかり、帰宅したのは朝方。
まだ就寝中の一輝を起こさないようにと、夏桜は出来るだけ音を立てないように家事をこなす。



洗濯を済ませ、数日分の作り置きおかずを作り終えた頃、リビングに一輝が姿を現した。

「おはよ」
「はよ」
「珈琲でも飲む?」
「今何時?」
「13時になるところだけど」
「え、……昼過ぎてんの?」
「うん」

寝癖が少しついてる髪を掻き乱しながら、ソファーにボスっと座り込んだ。

「薄めの珈琲貰える?」
「はーい」

一応昼食?(一輝にとっては朝食)を用意してあるけれど、起床後すぐに食べるタイプではないことを熟知している夏桜。
食事はラップをかけてトレイに乗せてある。

「はい、珈琲」
「悪いな」

一輝の隣りに腰を下ろし、テレビのリモコンで電源を入れる。

どこにでもあるような休日。
エプロン姿の彼女がテレビを観ながらクスっと笑う。
その隣りで、そんな彼女を幸せそうに見つめる彼氏。
………だといいのだけれど。

「んっ?!………何?」
「これ、どうした?」
「これって?……あ、昨日検査したの」
「検査?」
「うん。血液検査」
「………体調が悪いのか?」
「あ、違う違う。そういうんじゃなくて、定期検診みたいなもの?」
「じゃあ、今はこれといって症状があるとかではないんだな?」
「うん、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」