クラスの皆が私に「ユウキって誰だよ!」と、ッツコミを入れているのに交え、一人低い声で、
「ユウキって、なんで知ってんの」
絶対ツッコミじゃなさそうな声で、犬飼くんは質問してきた。
「………もしかして調べた? それとも、最初から気づいてたから俺に優しくしたのか?」
犬飼くんは重い腰を上げ立ち上がると、パンパンと自分のお尻を叩いた。
――どうしよう、完全に勘違いしてる。今すぐ誤解を解かないといけないのに、「え、まじ? まじなの!?」永上くんが一人テンパりだした。
だからマジだって言ってんでしょうが!
誤解を解くために、犬飼くんと永上くんを教室の外に連れ出した。辿り着いた場所は空き教室は少し離れた空き教室だった。
教室に入るなり、ムスッと不機嫌な顔をする犬飼くんと、憧れのような眼差しで犬飼くんを見る永上くん。
あれだけ疑ってたのに、こうも簡単に信じるなんて。永上くん将来絶対詐欺とか合う気がする。
シーンと静まり返る中、先に口を開いたのは私だった。
「犬飼くん、勘違いしないでほしい。私は永上くんと違ってそんな理由で犬飼くんに近づいてない」



