これ以上話していても何も変わらなさそうだなと思っていたのも束の間、「失礼しまーす、黒井先生、頼まれていた物持ってきましたー」と、私の横に並んだのは永上くんだった。
――出た、デジャヴの根元。
永上くんはノートを先生に渡した後、私に「ちょっと」と、合図をしてきた。仕方なく、永上くんについて行くべく職員室を後にした。
「――どうしたの?」
「いや、犬飼がクラスのヤツと喧嘩して……」
――喧嘩!?
「教えてくれてありがとう! 私、教室先に行ってるね!」
走り出したその時、永上くんから腕を掴まれた。
「まて! アイツはクラスにいない方がいいと思う」
「は!? なんで!」
「アイツを抜かしたら俺達のクラスって最高じゃん、皆仲良いしさ! だから、アイツは退学してもらった方が良いんじゃね!?」
――また永上くんは自分の都合が良いように回そうとしている。
「なんでそうなるの!? そんなことになったら、私一生永上くんを恨むよ!」



