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「ニコちゃん、お昼食べよ~」
月曜日の昼休み。四時間目の授業で使った教科書とノートを片付けていると、お弁当を持ったカノンとアキナが寄ってきた。
「あー、うん」
近くの机と椅子を動かして、三人でお弁当が食べられるようにセッティングを始めるカノンとアキナを見ながら、わたしはカバンの中をそわそわと気にしていた。
今日のわたしのお昼ごはんは、学校に来る前にコンビニに寄って買ってきたサンドイッチとサラダ。
いつもなら、カノンたちの前にすぐにお昼ごはんを出すのだけれど……。今日はふたりとお昼ごはんを食べる前に、行きたい場所があった。
「ニコちゃん、ごはん食べないの?」
椅子に座ってお弁当の包みを開いたアキナが、机の前で立ったままでいるわたしを不思議にそうに見上げてくる。
「食べるよ。食べるんだけど……」
頬を引き攣らせて笑いながら、机の横にかけたカバンをとって胸に抱える。
「なんかちょっと、お腹が痛いなーって」
そう言いながら、さりげなく一歩下がると、カノンとアキナが心配そうな目で見てきた。



