「ち、違うよ。そんなわけないじゃん」
「そうなの?」
「そうだよ。わたしはただ、忙しいお母さんのことを少しは助けられるようになりたいなーって思っただけで――」
焦って言い訳したけど、お母さんは食事の間中、ずっと少しニヤついていた。
彼氏ができたわけじゃないけど、お弁当を作ってみようと思ったのも、二週連続でカレーを作ってみたのも、全部新海くんの影響であることには違いない。
今のわたしには彼氏じゃなくて、特別に気になる人がいる。わたしの心境の変化を、いつも簡単に見抜いてしまうお母さんはすごいというか、さすがというか。
やっぱり、わたしのお母さんなんだなって思う。



