時計に視線を向けると、時刻は19時前。今日は日勤で仕事に出ているお母さんが、もうすぐ帰ってくる。
炊飯器にセットしてあるごはんは、あと十分で炊けるし、今回こそ、準備は完璧。
先週カレー作りに失敗したときは、もう当分料理なんていいやって気持ちになってたけど、新海くんのアドバイスを聞いてリベンジしてみてよかった。
お鍋の中に完成したカレーを見つめながら、ぼんやりと新海くんの顔を思い浮かべる。
次に新海くんと中庭で話せるのは二日後の火曜日。
リベンジ成功したことを話したら、新海くんは笑ってくれるかな……。
そう思ったら、急にそわそわと落ち着かない気持ちになった。
明日学校に行けば新海くんと教室で会えるのに、火曜日まで話せないなんて。なんだかすごくじれったい。
だけど、やっぱり新海くんは教室ではわたしに話しかけてほしくないのかな。
そのとき、玉ねぎのみじん切り動画を見るためにキッチンのカウンターに置いていたスマホがふと目に留まった。
そうだ。わたし、新海くんの連絡先知ってるんだ。
教室で話せないなら、写真と一緒にメッセージを送ればいい。