ザクン。

 力を入れて握りしめた包丁で、玉ねぎ半分に切る。

 ザクン、ザクン。

 日曜日の夕方。わたしは、二週続けてのカレー作りに奮闘していた。

 根元を残しながらゆっくりと慎重に玉ネギをスライスしていると目が痛くなって涙が出てきた。

 玉ネギを押さえていた左手で目をこすると、余計に目が染みて、なかなか涙が止まらなくなる。

「うぅー、痛い……」

 ずびずびと何度も鼻をすすりながら、新海くんと動画の教えどおりに玉ねぎをみじん切りにする。

 それがすごく大変だったけど、玉ネギさえ切ってしまえば、新海くんが言っていたとおり、キーマカレーの作り方はそんなに難しくなかった。

 鍋で玉ねぎのみじん切りとひき肉を炒めて、水を入れて沸騰するまでグツグツさせて。市販のルウを溶かすだけ。

 できあがったキーマカレーは、いつもうちで食べているカレーとは少し違うスパイスの匂いがした。

「これはもしかして、初めての大成功なんじゃない?」

 これまで、激マズ味噌スープ、焦げ卵の塊、シャバシャバカレーと失敗品ばかりを作り上げてきたから、初めての成功体験にテンションが上がった。