「同じようなことを、なに?」
「ううん、なんでもない」
ハハッとごまかすように笑うわたしを見て、カノンがまたほんの少し、怪しむようなまなざしを向けてくる。
「それより、早く教室戻ろう。五時間目の英語って、今日単語テストじゃない?」
わたしがそう言うと、カノンとアキナがハッとしたように表情を変えた。
「あ、そうだ。忘れてた」
「わたし、半分くらいしか覚えれてないよ」
「早く今日戻って覚えよう」
カノンとアキナが、教室に向かって早足で歩き始めた。
昼休みのこと、うまく隠せてるよね……。
カノン達の関心が自分から逸れると、ようやく少しほっとした。



