「料理の本調べに図書室に行くなんて……。急にどうしたの、ニコちゃん」

「なにかあったなら、いつでも話聞くよ」

 同時にわたしに視線を戻したカノンとアキナが、それぞれ心配そうに眉根を寄せる。

 ふたりとも、わたしがなにかに悩んでおかしくなったとでも思ってるのかな。だとしたら、すごく心外。

「わたしだって、たまには料理に挑戦してみようかなーって思うこともあるよ」

「そうなの?」

「そうだよ。お母さんの誕生日にキーマカレー作ってあげようと思っていろいろ調べたの。材料とか、玉ネギの上手なみじん切りの仕方とか……。ほら、母の誕生日といえば、やっぱりカレーだし」

 カレーのことや玉ネギのみじん切りのことなど。実際に新海くんから教えてもらったほんとうのことも織り交ぜながら話すと、ようやくカノンもわたしに向けていた疑いの目を緩めた。

「お母さんの誕生日にごはん作ってあげるって、ニコちゃんにしてはすごいサプライズじゃん」

「でしょう?」

「うん。だけど、カレーって母の誕生日じゃなくて、どちらかと言うと母の日の定番じゃないの?」

「思った」

 カノンの冷静なツッコミに、アキナが笑う。

「そうなの? 同じようなことをにい――」

 新海くんも言ってた。

 つい、口を滑らせそうになって、慌てて手で押さえる。