アキナはともかく、カノンはわたしがなにかを隠していることに気付いているんだろう。
だけど、新海くんとの中庭の秘密は絶対死守しなきゃだし。
そのためには、図書室で調べ物をしていたというウソを、何としてでもつきとおすしかない。
「し、調べてたのは……、ほら、料理の本だよ」
頭の隅に新海くんの顔を思い浮かべながら言い訳を考えていたら、そんなウソがぽろっと口から溢れた。
「料理の本?」
「ニコちゃんが?」
わたしの言葉を聞いたカノンとアキナが、お互いに顔を見合わせて目を丸くする。
ふたりの中で、「料理」と「わたし」は「図書室」と「わたし」以上に想像できない、対極にある事象だったらしい。
カノンもアキナも、わたしが昼ごはんにコンビニのおにぎりやパンを持ってきているのを何度も見ているし。
わたしがこれまで、料理に全く興味関心がなかったことをよく知っているのだ。



