教室では周囲に何の関心もなさそうな顔でツンとしている新海くんだけど。料理のことを含め、好きなことを話してくれるときの彼は表情豊かで、キラキラしていて。
そのギャップに、胸がきゅんとしてしまう。
教室では新海くんと関わることはできないけど、中庭で週二回、一緒にお昼を食べているわたしたちの距離は確実に近付いている。
手に入れた新海くんの連絡先と、向けられる笑顔にドキドキしながら、わたしは残りのお弁当を頬張った。
初めて自分で詰めてきたお弁当をほんとうはもっと味わうつもりだったんだけど、思いがけない収穫に頭も心もすっかり高揚してしまって。
胸がいっぱいで。持ってきたお弁当の味は、正直、途中からよくわからなくなっていた。



