「いいの?」
「うん、ニコちゃんのID教えてよ」
「あ、うん」
邪な気持ちは隠して、新海くんとラインを交換する。
こんなに自然な流れで新海くんの連絡先をゲットできるなんて……。
密かに喜んでいると、すぐに動画が送られてきた。
「もしカレーリベンジするなら、これを参考に挑戦してみなよ。ちなみに、この動画あげてる人、料理研究家なんだって。基本的に、普段あんまり料理しない人にもわかりやすいように動画編集されてるし、料理の基礎を教えてくれるような内容の動画もあるから時間あれば見てみて。ニコちゃんが料理に興味がでてきたなら役に立つ情報もあると思うよ」
わたしの前にしゃがんだ新海くんが、スマホを見せながらにこにこと笑いかけてくる。その笑顔を見れば、新海くんが親切でわたしにいろいろと教えてくれているのだとわかる。
だけどわたしは、料理よりも動画よりも、完全に気を許した顔で笑いかけてくれる新海くんのほうに断然興味が沸いていた。



