昇降口からも校庭からもいちばん離れている中庭の近くまでくれば、もう人目を気にしなくても大丈夫。
そう思ったら、自然と駆け足になった。
早く新海くんと話したい。
はやる気持ちを押さえきれずに、校舎の角をスピード全開で急カーブする。
次の瞬間。ドスッと正面から何かにぶつかった。
「い、った」
「い、って」
わたしのと同時に聞こえてきた声にびっくりして顔をあげると、新海くんが顔をしかめて胸のあたりをなでていた。
「大丈夫? ていうか、こんなに思いっきり突っ込んでくると思わなかったんだけど」
「新海くんこそ、どうしてこんなところで立ち止まってるの」
曲がり角の先で立ち止まっていた新海くんに思いっきり頭突きで突進してしまったわたしも、ちょっと涙目でおでこをさする。
「だってニコちゃん、教室出てからずっと不自然な距離でおれのあとをつけてくるから。背中にずっと視線を感じてしょうがなかったんだけど」
新海くんに指摘されて、ドキリとする。
教室を出てから一度も振り返らずに、素知らぬ顔で歩いていたくせに。視線に気付かれていたとは思わなかった。



