初恋ランチタイム


 やっと昼休みだ。

 机の横にかけたカバンからお昼ごはんの入ったミニトートを取り出していると、席からすっと静かに立ち上がった新海くんが教室から出ていくのが見えた。

 その背中をさりげなく見送りながら、わたしもミニトートの持ち手をつかんであとを追う。

 ほんとうは新海くんの隣まで走っていって、すぐにでも声をかけたいくらいだけど。

『中庭以外で話さない』

 それが新海くんとの約束だから、なんとか我慢して、二メートルほど間隔をあけて新海くんに着いて行く。

 少し離れたところで揺れる金髪を見つめながら、わたしは手に持っていたミニトートを胸に抱えてニヤニヤとした。

 その中に入っているのは、今日のわたしのお昼ごはん。

 もちろん、コンビニのおにぎりでもサンドイッチでも、お母さんに持たされた冷やしうどんでもない。今日のわたしのお昼ごはんは、いつもより早起きして手作りしたお弁当だ。

 作ったと言っても、昨日の夜に炊飯器にタイマーをかけて炊いておいたごはんとお弁当用の冷凍食品をチンして詰めただけなんだけど。

 我ながら、わりと満足のいく見た目に仕上がったと思う。