ひとりで教室に入ってきた新海くんの顔付きは、つい十分ほど前までわたしと中庭でお昼を食べていたときと全然違う。
わたしとふたりでいるときは無邪気で柔らかな笑顔を見せていた彼が、今は周囲を警戒するような目をして感情を隠していた。
クラスメートたちとは異質な髪色に、人を寄せ付けまいとする固い表情。
教室での新海くんしか知らなければ、わたしは今も、ほかのみんなと同じように彼のよくないウワサを信じたままでいたかもしれない。
席に座って窓の外を見遣りながら、授業が始まるまでの時間を気怠げな表情でやり過ごそうとしている新海くん。
唇をきゅっと一直線に結んだ彼の横顔を少し離れたところから、じっと見つめる。
だけど新海くんは、わたしの視線に気付いて振り向くことはなかった。



