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「ニコちゃん、おかえり」
「先生の話、長かったね。何の話で呼び出されてたの?」
新海くんとのランチタイムを終えて教室に戻ると、カノンとアキナに話しかけられた。
「あー、うん。ちょっとね」
ヘヘッと笑ってごまかすわたし見て、カノンとアキナがお互いに顔を見合わせて首を傾げる。
カノンとアキナと三人で輪になって話していたら、五時間目の始業のベルが鳴る直前に、新海くんが教室に戻ってきた。
お昼ごはんを食べたあと、わたしは新海くんよりも早く中庭を出た。
それが、新海くんが週に二回、わたしと一緒にお昼休みを過ごしてくれるための条件だったから。
スクールバッグを肩にかけた新海くんは真っ直ぐに進行方向だけを見て、無表情で教室に入ってくる。
スタスタと歩いていく新海くんのことを、クラスメートたちがさりげなく避ける。
ちらちらと向けられる恐れと好奇心の入り混じった彼らの視線に、新海くんはわざと気付かないフリをしているみたいだった。
新海くんが席に座るとき、ガタンと椅子の音が鳴る。
新海くんが乱暴に椅子を動かしたようには見えなかったけど、彼の周囲の席の子達は必要以上に肩を揺らしてびくついていた。



