「遠慮せずとっていいよ。よかったら、ここに座って」
新海くんがそう言って、わたしが座るスペースを空けてくれる。
「おじゃまします。そして、いただきます」
わたしは昨日と同様、新海くん並んで花壇のレンガに腰掛けると、手を合わせて、ありがたく新海くんのおにぎりをいただいた。
「んー、おにぎりもおいしい! これ、なんの混ぜごはんの素使ってるの?」
梅干しと紫蘇のおにぎりを食べながら、またもや唸り声をあげるわたしに、新海くんが笑って首を横に振る。
「それ、混ぜごはんの素は使ってないよ。細かめにちぎった梅干しと、細かく刻んだ紫蘇の葉と、ちょっとだけ醤油をかけたかつお節と、ゴマを混ぜてる」
「これも新海くんが作ったやつなの? だからホンモノの紫蘇の味がしておいしいんだ!」
「作ったって言っても、ただ混ぜただけだけどね。死んだ母親がよく作ってくれてた混ぜごはんおにぎりを再現したやつだよ。美味いでしょ」
「うん、おいしい! ていうか、卵焼きもふわふわでちょうどいい甘さでおいしいよ。新海くん、天才!」
「ふつうだよ」
「そんなことないよ。わたし、昨日の夜に生まれて初めて卵焼きを焼いてお味噌汁を作ってみたんだけどね、どっちも大失敗。激マズだったの。それでも、お母さんは『仁瑚が作ってくれたってだけで美味しい』なんて、すっごい人徳者みたいなお世辞言うんだよ」
わたしがちょっと大袈裟に顔をしかめると、新海くんがハハッとおかしそうに笑ってくれた。



