体育祭の翌日。カノンとアキナに「先生に呼ばれてる」と適当なウソをついたわたしは、昼ごはん用のコンビニのサンドイッチを持って中庭に向かった。
昨日のように大きな桜の木の陰からそっと中庭の花壇を覗く。
そこでは今日も、新海くんがひとりで昼ごはんを食べていた。
花壇に咲いている黄色やオレンジのマリーゴールドの花のなかに、新海くんの金髪が馴染んでいる。
新海くんの膝の上には、昨日に比べると小さめのお弁当箱。横には、黒いステンレス製のスープジャーが置いてある。
新海くんの今日のお弁当には、何が入っているんだろう。
木の陰に隠れて新海くんのランチタイムの動向を窺っていると、ふいに顔をあげた彼とパチリと目が合った。
「あれ、ニコちゃん」
新海くんに呼ばれたわたしの背中に、つーっと冷汗が流れた。
また、見つけられてしまった……。
二日連続でランチタイムをこそこそ覗き見したりして、ストーカーみたいだと思われたらどうしよう。