初恋ランチタイム


◇◇◇

 ひとりでお昼ごはんを食べてから応援席に戻ると、カノンとアキナが近付いてきた。

「ニコちゃん、昼休み、どこ行ってたの?」

「いないから探したよ」

 カノンとアキナが、心配そうな顔でわたしに訊ねてくる。

「うん、ちょっとお腹痛くなっちゃって」

 カノンとアキナのことは大好きだけど、中庭でこっそりとコンビニおにぎりを食べていたことやそこで新海くんと会ったことはやっぱり話せなくて。ヘラっと笑ってごまかす。

 そうしたら、カノンとアキナは大げさなくらいにわたしを心配してくれた。

「え、大丈夫なの?」

「お昼食べれた?」

「もう大丈夫だよ。ちょっと休んでたら元気になったし」

「それならいいけど」

 お腹が痛かったなんてウソなのに。

 カノンもアキナもわたしのウソを少しも疑っていない。

 カノンとアキナが優しいから、ふたりにウソをついた罪悪感で、チクリと胸が痛む。