あーあ。

 学校指定の紺色のジャージの上着。

 その下に隠していたコンビニのおにぎりを取り出したわたしは、中庭の校舎の壁にもたれてため息を吐いた。

 わたしの手には、ツナマヨと牛カルビ焼き肉のおにぎりがひとつずつ。

 どちらも、コンビニでおにぎりを買うときは必ず選ぶ、わたしの好きな味。

 朝寝坊してお弁当を作りそびれたお母さんが、家の近所のコンビニまで自転車を走らせて買ってきてくれた。今日のわたしのお昼ごはん。

 わたしは右手にツナマヨ、左手に牛カルビ焼き肉を持つと、朝起きてから何度目になるかわからないため息を吐いた。

 あーあ。お母さんてば、どうして今日に限って朝寝坊なんてしたんだろう。

 今日は絶対にお弁当作ってね、って。もう二週間以上も前からしつこいくらいに何度も言っておいたのに……!