初恋ランチタイム


 ドキドキしながらツナマヨおにぎりをちまちまと食べ終えると、牛カルビ焼き肉のビニールを剥く。

 それをまたゆっくりと食べていると、先に食べ終えた新海くんがお弁当の蓋を閉めて片付け始めた。

「ごちそうさま。おれ、食べ終わったから行くね。ニコちゃんはゆっくり食べて」

 お弁当袋をカバンに入れた新海くんが、立ち上がりながら笑いかけてくる。

「え、あ、うん」

「ひさしぶりに、誰かと一緒に昼ごはん食べれて嬉しかった。ありがとね、ニコちゃん」

「こ、こちらこそ、ありがとう」

 口の中に入ってきた牛カルビ焼き肉を慌てて飲み込んでお礼を言うと、新海くんが「じゃあね」と手を振って歩いていく。

 わたしと新海くんは友達でもなんでもなくて、今日初めて会話したただのクラスメート。

 中庭で一緒にお昼を食べることになったのも成り行きだし、花壇のレンガで相席してただけなんだから、食べ終われば先に行ってしまうのは当然だ。