初恋ランチタイム


 野田くんが新海くんに話しかけているあいだに、わたしは急いでカノンとアキナのところに逃げた。

 サンドイッチは残念だけど、今や友達いっぱいの人気者になってしまった新海くんに、わたしはもう必要ない。

「カノン、アキナ、お弁当食べよう」

 淋しい気持ちが顔に出ないように、明るい声でふたりを誘って机の上にお弁当箱を出す。

 そのフタを開けようとしたとき、「ニコちゃん」と呼ばれた。

 カノンともアキナとも違う、少し低くてかすれた声にドキッとする。

 顔をあげると、すぐそばに新海くんが立っていて。なんだか切羽詰まったような顔をしてわたしを見下ろしていた。

「新海くん……?」

 戸惑い気味に首を傾げると、新海くんが突然、わたしの手首をつかんでグイッと引っ張る。

「ごめん、ちょっとニコちゃん借りていい?」

 わたしを強引に椅子から立たせると、新海くんがカノンとアキナに訊ねる。

 最初は驚いたように目を見開いていたふたりは、どちらからともなく顔を見合わせると、すぐにわたし達のほうに向きなおってニヤリとした。