初恋ランチタイム


 最近の新海くんは、他のクラスメートたちの前でよく笑うようになった。

 少し離れた場所で笑う新海くんの横顔を見る度に、わたしはよかったなと思う反面、少し淋しい気持ちにもなる。

 素のままの新海くんが他のみんなに受け入れられることを望んでいたはずなのに、新海くんがどこか遠い存在なったような気がする。

 新海くんが優しい顔で笑うことも、料理がうまくて卵焼きが美味しいことも、妹や家族思いなことも。わたしが一番に気付いてたのに……。

 あとから気付いた人たちばかりが、新海くんのことを独占するのはズルい。

 心のどこかでそんなふうに考えてしまうわたしは、性格が悪いかな。

 風に揺れる新海くんのダークブラウンの髪をぼんやりと眺めていると、ゆっくりと減速して止まった新海くんがわたし達のいる校舎を振り返る。

 たまたまだと思うけど、こっちを少し見上げるように振り向いた新海くんと目が合ったような気がして。胸がドクンと鳴った。