「ほとんど騙されたみたいに染められたから、すぐに黒に戻してって言ったんだけど、二ヶ月くらいでどんなふうに色合いが変わるかもみせてほしいって頼まれちゃって。従姉には、母親が病気になってから亡くなるまで、妹の世話とかいろいろ助けてもらってた恩があるから、仕事のスキルアップのために協力してって言われたら断り切れなくて」
「それで、入学式に金髪で来たんだ?」
「そう。従姉もうちの親父も能天気でさ。中学校の校則には『勉強するのに適した髪型で』って書いてるけど、『毛染め禁止』とは書いてないから大丈夫だろーとか言ってて。大丈夫なわけあるかって思いながらも、そのまま入学式にいたら案の定……」
新海くんが、髪の毛を触りながら苦笑いする。
「ふつうに考えて、入学式早々、こんな色で来ちゃって大丈夫なわけないよな。先生には目付けられるし、クラスのみんなには不良だってビビられて避けられるしで、最悪。従姉は徐々に髪の色をダークカラーに戻すって言ってくれてるけど、ここまでみんなにビビられて避けられてるなら、もうこのまま中学三年間、金髪の不良ってことで通したほうがいいような気がしてきてる」
新海くんが、はぁーっとため息を吐く。
ウワサの裏にあった事情を知ったわたしは、思わず少し笑ってしまった。



