あれ、新海くんって別に怖い人じゃない……?
そう思ったのか、一歩下がって見ていた班のメンバーがじわじわと調理テーブルに近寄っていく。わたしの隣にいたカノンも、少し驚いた顔で新海くんのことを見ていた。
「新海くん、料理作り慣れてるの?」
「めっちゃ手際よかったよね。作る前に、卵を綺麗に焼くコツ教えてほしい」
「うわ。お前らズルい。おれが先に新海くんに話しかけたのに」
わたしとカノン以外の女子メンバーふたりと野田くんが、新海くんを囲んで話しだす。
急に親し気に話しかけられた新海くんは、戸惑いの表情を浮かべながら固まっていて。助けを求めるようなまなざしをわたしに向けてくる。
その様子がおかしくて、わたしはちょっと笑ってしまった。



