初恋ランチタイム


 新海くんにアドバイスしてもらったとおりに、先にフライパンを十分に温めて。そこに溶いた卵液を一気に流し込む。

 菜箸で卵をかき混ぜるようにしながら半熟になるまで焼いたあと、火を止めて、炊飯器で炊いたチキンライスを卵の真ん中あたりにのせて左右からフライ返しで包み込む。

 チキンライスを包むときに卵が少し破れたし、お皿にのせるときも失敗してカタチが微妙に崩れてしまって、正直見栄えは60点くらいだったけど。

「美味そう」

 できあがったわたしのオムライスを見た新海くんの口が、テーブルの向こう側でそんなふうに動くのがわかったから。

 それだけで、加点を100くらいもらえた気分になれた。

「じゃあ、次は新海くん」

 わたしの次に伊藤先生にチェックされるのは新海くん。

 新海くんが卵の入ったボウルに手を伸ばすと、周囲のみんなが何となく避けるように後ろに下がる。