今日の実習のメインはひとりずつ卵を焼いてチキンライスを包むこと。なので、チキンライス作りは炊飯器で時短するらしい。

 炊飯器をセットすると、ごはんが炊けるのを待つあいだにレタスとトマトでサラダを作り、コンソメスープも作る。

 その間も、新海くんはわたしたちの活動には見向きもせず、窓の外を退屈そうに眺めていた。

 実習で料理ができるところを見せたら、クラスメートたちの新海くんを見る目も絶対変わると思うのに。

 最後まで何もやらないつもりなのかな。

 鍋に作った琥珀色のコンソメスープをお玉で混ぜながら、歯痒い気持ちでため息を吐く。

 わたしが新海くんのことをずっと気にしているのには理由があった。

 実は、昨日の夜に新海くんにこんなメッセージを送っておいたのだ。

〈調理実習、新海くんもちゃんと参加しようよ。わたしが他のメンバーに話して、自然と参加しやすい雰囲気に持っていくから。新海くんが料理が得意で本当は優しいってわかったら、クラスのみんなの目も絶対に代わるよ。それに……、わたしはやっぱり、これからも昼休みに新海くんと一緒にお弁当を食べたい。〉

 送ったメッセージは既読になったけど、新海くんからの返事は返ってこなかった。