初恋ランチタイム


 席に座って五時間目の授業の準備をしていると、昼休みが終わる間際に新海くんが教室に戻ってきた。

 周囲に見向きもせずに唇を固く結んで一直線に自分の席へと向かう新海くん。非常階段でわたしと別れたあとは、いったいどこにいたのだろう。

 同じ教室にいても、わたしと新海くんの距離は遠い。

 離れた席から歯痒い気持ちで新海くんを見つめているうちに、五時間目の授業が始まる。

 今日の五時間目の授業は先生の都合で時間割の入れ替えがあって、英語から家庭科になっていた。

 金曜日の英語の授業は単語や文法のテストがあって大変だけど、板書が少なくて聞いてるだけでいい家庭科の授業はラクでいい。

 新海くんのほうに意識を向けながらぼんやりしていると、前の席の子からプリントが回ってきた。

「もうすぐ一学期も終わりなので、来週の金曜日に三、四時間目を使って調理実習をします」

 プリントがクラス全体に行き渡ったのを確認してから、先生が話し始めた。