初恋ランチタイム


「うん。もしかしたら、チームのメンバーも毎回試合に出てるそいつの足を引っ張りたかっただけなのかも。でも、そいつからしてみれば、試合のメンバーにも入れてもらえなかったってことが精神的に大ダメージだったみたいで。どうしてもサッカー続けたい。結局ほかのやつらと同じでごめん、ってわざわざおれの家まで謝りにきてさ。わかったって言うしかなかった。おれと仲良くしてくれたせいで、友達が嫌な思いしたって知ってショックだった」

「その友達との関係は、それで切れちゃったの?」 

「うん。中学は受験してサッカーのできる学校に行ったって聞いたけど、今はどうしてるんだろ」

 悲しそうに表情を歪めてそう言うと、新海くんが金色の前髪を指でつまんで引っ張った。

「この髪の色、従姉に言われてしばらくこのままにしてるって前にニコちゃんに話したじゃん? でもほんとうはいつ黒染めしたっていいんだよね」

「え?」

「金髪の不良だと思われてれば誰も近付いてこないし、ひとりでいればヘンなウワサに誰かを巻き込んで傷付けずに済むから」

 人との関わりを初めからあきらめているみたいな新海くんの笑顔が、胸に痛かった。